2020年 8月 17日 月曜日
健康日本21という厚生労働省の道標があることをご存知でしょうか。みなさん一番知っていることの一つに8020があります。もうひとつは12歳児におけるDMFT(むし歯経験を表す指標)を1.0以下にするということです。すでに盛岡市内の学校ではこれを達成しているところもあります。
ひと昔前までは早期発見、早期治療と言われ疑わしい歯はとにかく削るという概念が一般的でした。しかし最近のむし歯の治療は出来るだけ初期のむし歯は削らないで再石灰化を促す治療に変わってきております。削らなくて済むものは出来るだけ削らないで保存する傾向にあります。
むし歯治療の考え方が変わってきております
1.再石灰化するための予防治療が進んでいる
2.脱灰されていても窩洞(むし歯で欠損)となっていなければ治癒することがある。
3.ブラック(1908)氏の裂溝を含めた予防拡大という考えは否定されてきている。
4.なるべく最小の侵襲(大きく削らない)という概念(ミニマムインターベンション)が提唱されている。
みなさんの中には今までの歯医者に対する考えのなかに歯医者は歯を削るところと思っている方が多いのではないでしょうか。そのままにしたらむし歯が進んでいくのではと危惧される方もいるでしょう。
何故削らないのかといいますと唾液には再石灰化作用があり、溶け出したミネラルを補い健康な状態に戻す働きがあります。
学校歯科健診でも実質欠損がない場合、なるべくCとせずにCoとしております。昔は「欠損しているかなあ」と探針でさぐっておりましたが今は再石灰化促進を妨げるということで使用しておりません。Coの場合、必ずダイアグノデントで数値を調べて予防処置で済むか治療の方が良いかを決定します。
したがって再石灰化を促すために予防を中心とした経過観察(オブザベーション)もありうるということをご理解いただきたいと思います。もちろんその場合は定期的に健診が必要となります。
歯を強くするために
〇食生活を考え糖分の少ない食べ物をとる。
〇よく咬んで食べ(カミカミ30回)唾液をだすようにする。
〇一日の食事の回数をキチンとする。
1)フッ素塗布
A.歯を強くする効果
B.再石灰化を助ける
C.むし歯菌を減らす
2)MIペースト(酸性になったお口を中和)
3)リナメル(ナノ粒子ハイドロオキシアパタイト)
4)キシリトールやリカルデントガムでむし歯菌が減少(8~14%位再石灰化します)
歯を削ったあとの一生(別紙参照)
一度削った歯は元どおりにはなりません。それどころか二次カリエス(詰め物の回りからむし歯が発生)になり、再治療の可能性が大きくなります。削って入れたものあるいは被せ物は人によって異なりますが寿命は約8~11年位といわれております。歯を削らなければ補綴物も必要なくなります。
医院によっては欠損部をブリッジにしないで審美的義歯を製作して歯ブラシがしやすい口腔環境にしている先生もいます。
したがって歯医者イコール削るところでなく、科学的根拠(EBM)にもとづいて歯を出来るだけ保存してあげるため予防しながら経過を見ていく、削らない歯医者もいるということを知ってほしいと思います。
唾液の力をいかそう(別紙参照)
1.希釈、洗浄作用
2.抗菌作用
3.緩衝作用
4.免疫作用
5.歯の石灰化作用
6.歯の保護作用
院長